遠いようで実は身近な医療のお話

皆さまこんにちはこんばんは。ケモミミ本舗 たぬぬです。

ちょっと前の日経ジャーナルで面白い記事があったので、今日はそれに関連した話を書こうと思います。

(日経メディカル メール 2025.07.31 第1932号 「破傷風トキソイドないんで、テタノブリンでもいいっすか?」 ←医療関係者は読めますがID登録とログインが必要です)

先月(7月)に我々医療界隈にはそれなりのインパクトをもってもたらされたニュースがありました。

そうです。
破傷風ワクチンが製造工程のトラブルで出荷が停止される、というニュースです。

ニュースとしてはまぁ地味な扱い(医療関係者には相当なインパクト)でして、多分一般の人は99%くらい「ふ〜ん」で終わったと思います。

破傷風のワクチン 出荷停止 “けがの際 入念に洗浄を” 学会 (7月19日 NHK ニュース)

この時のニュースの概要としては、「破傷風ワクチンの製造工程で確認が必要だからしばらく出荷停止するね」からの「ということでワクチン品薄になるからケガはしないようにしてね」です。

ちょ、待てよ。(古

ケガしないなんて不可能やん。(しかも夏休み真っ最中!)


実は我々獣医師業界も破傷風とは近い場所に存在しています。

なんせ家畜たちはワリと土壌のあるところで飼育されてたりしますし、「放牧」は「土の上」でされますからね。
傷などから破傷風菌が入り込むことはまぁ頻度は高くないにせよ、危険性は十分に持ちうる環境なワケです。(破傷風菌は「あたりまえに」土壌中に存在します)

さて。

ここで最初にご紹介した記事(お医者さんが書いたコラム)に戻ります。

どうやらそういったこと(土壌からの感染)は人間界でも想像している以上に普通に起きているらしく、このお医者さんはご自分で3例の破傷風事例に会ったことがあるようでした。

破傷風なんて普通の人は聞いたことあるなぁ程度だと思いますが、ちゃんとワクチンが存在していまして、感染リスクのある場合(前回ワクチン接種から10年くらい経ってる、など)にはお医者さんから接種を勧められます。
(獣医業界でも動物用の破傷風トキソイドが存在します)

さてそのワクチンがいきなりの出荷停止とくると、そもそもそんなに在庫を抱えてない病院はビビるワケです。

破傷風の症状としては運動神経の興奮を起こすことから筋肉の痙攣や硬直などがありまして(動物ではよく舌筋の硬直から起こる「木舌」が有名ですね。映画の「震える舌」とかご覧になったことがある方もいらっしゃると思います)、ガチで発症してしまうとそれはもう大変なことになってしまうようです。

筋肉は体中に存在するので、その痙攣や硬直は、簡単に血圧だったり呼吸だったりを止めにかかってきます。

そういう時にやはりワクチンの存在は大きな補助手段になりうるワケです。

しかもどうやら(記事によると)トキソイドの代替となるテタノブリン(免疫グロブリン)は、ワクチンの10倍くらい高い‼︎らしく…

これ下手したらヤバいことになるやつですよね。

とは言えまぁ我々側がソワソワしてる間に、7月29日から出荷再開(限定出荷)はされたワケですけどね。
(安定供給されるかどうかはまだ微妙…)

助かる手段があれば高かろうが使うことになるのでしょうが、なんだか複雑な気持ちになりますよね…

破傷風ワクチンをいつ接種したか全く覚えてない勢はちょっとこの辺りのことを頭に入れておいていただけるといいかなと思います。


やっぱり業界的にはそれなりに注目されているようで、上記の日経メディカルにも続報がいくつも載っていました。

なんだかこのところ、薬も不安材料が出てきて嫌な感じですね…

お互いケガには気をつけましょう!

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