ケモノドールができるまで(工程紹介)

皆さんこんにちはこんばんは。ケモミミ本舗たぬぬです。

今日は当工房のケモノドールがどうやって作られているのかご紹介したいと思います。

デザインからパーツの作成まで

当工房のケモノドールは全てケモミミ本舗オリジナルデザインです。
手描きで作ったデザイン画からBlenderという3Dソフトを使って人形や雑貨を設計して、3Dプリンターでそれを出力してパーツを作ります。
パーツの数は全部で12個あります。(アイを合わせると14個になります)
3Dプリンターは一度スタートすると、終わるまで成功か失敗かほぼ分からないので毎回成功を祈ってスタートボタンを押してます。
人為的なミスや機械的なミスも含めた成功率はざっと70%くらいでしょうか。
1回のプリントで2時間から5時間くらいかかります。(大きさによりけりです)
1度でできる量はケモノドール1体分くらいです。
使用しているレジンは人体に影響の少ない、水洗いレジンです。
(胴体部分は首のジョイントのために特別に丈夫なレジンを使用しています)
これをちまちま繰り返してパーツを作っていきます。

塗装の準備

パーツを塗装できる状態にするために2つのことをします。

1つ目、関節部の針金通しとボディ・手のひら・しっぽの磁石の仕込み。
2つ目、3Dプリントでできたパーツの凹凸の修正。

1つ目の針金は人形を組み立てるときに体に通すゴムを引っかけるために必要となるものです。
両肘と両膝の4か所に入れます。
磁石はネオジム磁石を使っています。市販のお人形の磁石って弱いことが多いので、うちは強力磁石にしてます。
磁石はおしりとしっぽ、手のひらに入れます。

2つ目の凹凸の修正は、3Dプリントをするとどうしてもできてしまう小さな穴埋めや表面の段差をなめらかにする作業です。
削って穴埋めして、削って穴埋めして…を繰り返し、根気強く整えていきます。

ここの工程が1番時間がかかります。
手を抜くと後で痛い目に合うので、しっかり時間をかけて行います。

下地の塗装

下地は塗装の準備段階でカバーしきれない細かい傷を確認しやすくできるとともに、それらを埋める働きもします。

下地塗装→傷がある部分の表面をならすように研磨する→研磨カスを取り除く(→次の下地塗装へ)

これを1ターンとして、大体3〜4回繰り返してようやく塗装の準備が完了となります。
1ターン経るごとに研磨する目を細かくしていって、最終的には1500番を使って研磨します。
ここまで来てようやく、人形の表面がほぼ完成時の滑らかさになります。
(ここからさらに塗装を重ねるので、さらに滑らかになります)

塗装(第1層)

塗装の第1層は塗装自体の下地の感覚で行っています。
主に白1色で塗っています。

塗装→乾燥

を大体3〜4回繰り返します。
ここで見つかる細かい傷もあったりするので、その時は傷の状態によって最初からやり直すか、前段階の下地(+研磨)からやり直します。

塗装が終わった段階で一度コーティング剤をかけて完了です。(コーティングは2回以上かけます)

塗装(第2層以降)

模様や重ねる色のある時はさらに色を変えて塗装を続けます。
これも大体3回以上繰り返します。
色が複数ある場合はその数の分だけこれらの工程が繰り返されます。
コーティングは色が終わるたびにかけます。

オーダー塗装で複雑な模様を塗る時はマスキングテープなどを使用して塗装を行います。
基本的に塗装はエアブラシで行いますが、場合によっては筆やスポンジも使用します。

表情づけ

お口や肉球などの色付けをします。
さらにここでもコーティングします。

塗膜強化作業

関節部分はパーツが擦れ合うので塗膜強化の意味から表面仕上げ用のレジンで補強します。
しばらく置いておくと関節がちょっとくっつく感じになるのはこのためです。

また、すべてのパーツで表面をさらにコート剤を使用してコーティングし、塗膜強化を行っています。

アイの作成

人形に入れるアイ(目)を作ります。

これもヘッドに合うようにデザインして3Dプリンターで出力したアイに色づけし、瞳の部分を作っていきます。
この工程が未だに苦手で、きちんとアイができあがる成功率は今のところ8割以下くらいです。
早く上手に作れるようになりたいです…

組み立ての準備

塗装と塗膜強化作業が終わるといよいよ組み立てです。

関節部分にゴムを引っかけるための小さなS字フックを針金で作ります。
関節の針金にフックをつけて腕と足がつながるようにX字に体内にゴムを通して組み立てます。
この作業だけで1体30分以上かかります。

頭にアイを装着します。
アイは周囲を柔らかいパテで埋めて頭部から外れないようにします。
アイの交換時にはこのパテを除去して改めて新しいパテでアイの周囲を埋めるようにします。
(長期間パテをつけたままにしておくと頭部と固着する部分ができたりしますが、その場合は先の丸いピンセットなどで除去するようにしてください)

しっぽをつけます。
しっぽは磁石でくっつくだけですので、好きな向きにつけてお楽しみください。
お洋服を着せたり椅子に座らせたりするときは外すことができます。
(小さいパーツですので紛失にご注意ください)

組み立てをして全体のバランスや傷の有無などを確認してからできあがりとなります。