RSウイルスの話

皆さまこんにちはこんばんは。ケモミミ本舗です。
今日はRSウイルスの話をしようと思います。

とは言え人間からではなく家畜から始めちゃうのですが。

我々畜産業界でRSと言えば子牛や搾乳牛にちょいちょい発生するウイルスとして有名です。
(月齢、年齢問わず発生します)
子牛は数頭ずつの群で飼育されることが多いので、ウイルスが入ると接触感染メインで瞬く間に広がり、いわゆる「集団発生」になります。
症状としては発熱、咳、鼻汁、食欲不振など一般的な風邪症状になるのですが、体力(若齢もその要素のひとつ)や基礎疾患(家畜の場合はマイコプラズマ感染が時限爆弾的な働きをすることもあります)によって症状が重くなる個体もあり、場合によっては肺炎になったり死亡したりしてしまいます。

参考:牛RSウイルス(日本獣医師会 家畜疾病総合情報システムより)

子牛で発生すると発育に影響が出るし、搾乳牛では乳が出なくなってしまったりと経済的な影響が大きいので基本的にはワクチンで対応されます。
(集団免疫をつけることで「群自体」の防御能力も上がる期待もあります)
ワクチンはありますが、治療法としては対症療法の他には有用なものはありません。

一方、人のRSウイルス感染症。

人の場合、家畜と違ってワクチンはなく、感染しても対症療法のみでの対応になる厄介な病気として広報されていました。

厚労省HP RSウイルス感染症Q &A

上記リンクは今年6月のもので知見としては新しいはずなのですが、どうやら最近この予防と治療に関して動きが出てきたようです。

日経メディカルの7月9日付のリポートにはこういう見出しで載っていました。
「登場相次ぐRSウイルス感染症の予防戦略、専門家に聞く位置付け」

また、週刊 日経メディカル(7月12日付)には
「RSウイルス感染症は予防できる時代に」
との見出しで書かれていました。

そうなんです。
どうやら人のRSV感染症分野も「予防等の戦略が立てられるようになった」という状況になっているようです。
成人についてはmRNAワクチンで、例えば妊婦に接種した場合には「母子免疫」として子どもに免疫がなされるようです。

まぁワクチンの形態がmRNAワクチンであることや妊娠中のワクチン接種など心理的ハードルはまだまだある感じですが、重症化しやすい子どものRSウイルス感染症の「対策のひとつ」として大きなファクターにはなり得ると思います。
感染してしまった子どもの治療についても有効な抗体製剤が発売されているようです。
(いずれも5月に発売されたばかりのようです。しかしそうなると6月に出されたはずの厚労省のHPにこれらが反映されてなかったのが不思議なんですけどね)

詳しく知りたい方は日経メディカルをお読みくださいね。

家畜においても人においてもウイルス単体でどうこうなることは少ないので、ウイルス感染の憎悪要素として他にもいろいろ考えなくてはならないのですが、とは言えワクチンは「流行している」時にはとても有効となる手段ですので、知識としては知っておくことはいいかなと思います。

いやぁ、それにしてもほんの10年前くらいまではウイルス性疾患は「冬のもの」だったのに、すっかり夏にも注意が必要な疾患になってしまいましたねぇ。

いわゆる新型コロナが発生する以前からちょいちょい人のインフルエンザが夏に流行ったりなんてありましたもんねぇ…
ウイルス性状的にはせめて夏場は静かにしておいてもいいんじゃないかと思うんですけど…

さて、最後になりましたが、RSウイルス感染症も予防の基本は「ウイルスとの接触を減らす」ことです。
接触感染、飛沫感染を防ぐために、手洗い、マスク、換気をしっかりして、予防、していきましょう。

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