野生動物と家畜とペット

皆さまこんにちはこんばんは。ケモミミ本舗です。

野生動物と家畜って案外距離が近いんですよ。

家畜は(放牧は別として)畜舎で飼育されるので外界との接触は少ないように感じるかもしれませんが、窓の全くないウインドウレス畜舎(鶏で多く使われる畜舎の形態です)であっても完全に外界と隔絶できるわけではありません。
例えばネズミ、ゴキブリなどの害獣、害虫。
それらはどうしても防ぐことのできない排水溝や吸排機構からいくらでも入ってきます。
侵入を減らすために農家さんたちはたくさんの努力をしますが、全てブロックすることは無理です。

野生動物はもちろん管理された生き物ではないので、さまざまな病原体を持っています。
身体が小さいのでちょっとした隙間から入り込んでエサを盗食します。

ゼロ距離にいる野生動物

畜舎内外に頻繁に出入りする野生動物としては、

スズメ、ツバメ、ハト、などの小型の鳥
ネズミなど小型哺乳類
ハエ・ゴキブリなどの昆虫類(クモも含む)

が挙げられます。
さまざまな病原体をダイレクトに持ち込む原因ともなるので、隙間をなくしたり殺虫剤・殺鼠剤を使うなど対策はされていますが、撲滅には程遠い状況です。

遊撃隊な野生動物

畜舎周辺をうろつく野生動物で頭を悩ませるのは

シカ、イノシシ、カラス

が代表的です。
これらの悪影響は豚熱など近年の家畜伝染病の発生を見ても明らかですが、こちらもやはりコントロールは非常に難しく、畜舎周辺に罠を仕掛けたり消毒薬を敷き詰めるなどの消極的な対処しかできていないのが現状です。

伏兵 放し飼いのペット

実は家畜で問題になるのは野生動物だけではありません。
農場で放し飼いにされている猫なども問題になります。
PED(豚流行性下痢)の大流行で猫の放し飼いをやめた農家さんもいました。
自分が飼っていない猫などが迷い込むこともあるので、人のためにも猫のためにも外飼いはやめたいですね。

最後の刺客 人

そして避けて通れないのが人。

人は管理者としても農場に入らざるを得ないので、気をつけすぎることがないくらい慎重になった方がいい生き物でもあります。
(なぜなら、人ほど自由にどこでも行ける生き物はないからです)

常に同じ農場にいる人は通常の対策で十分ですが、農場に出入りする外部の人は農場専用の服に替える、シャワーインシャワーアウトする、必要最低限以外は持ち込まない、など徹底する必要があります。
特に病気を見ることの多い獣医師は注意が必要で、同じカバー服を着回すようなことは絶対にやめなければなりません。


病気の家畜を作らないためだったり、安全な畜産物を生産したりするためにたくさんの農家さんの努力が重ねられています。

余談ですが、
実はこういう対策について公的機関である家畜保健所(正式名称は家畜保健衛生所)の獣医さんの助言が役立ったりしてるんですよ。
臨床の先生にはないこういった仕事も面白いですよね。

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