獣医師が半獣ドールを作るということ

皆さまこんにちはこんばんは。ケモミミ本舗です。

今回はケモミミ本舗の中の人である私たぬぬが、獣医師としてどういったところに意識を向けながら半獣ドールを作っているかをお話ししたいと思います。

獣医師である私は動物のどこを見ているのか

獣医師といってもさまざまな業種があります。
皆さんがよく目にするのはペットの獣医さんでしょうか。私は牛や豚などのいわゆる家畜の獣医師をしていましたが、農家さんでもない限り私のような獣医師に出会うことはほぼないでしょう。獣医師のほとんどはそういう一般の人の目に入らないところで働いています。

ブログでも何回か書いていますが、獣医師は動物のためだけに存在しているわけではありません。
むしろ「人間のためにこそ必要な職種」として存在しています。

動物は人の周りに常に存在し人の生活や健康に多大な影響を与えます。そのために、獣医師という動物に特化した知識を持つ専門家が、その影響を「人にとって最大限有利なものにする」ことが必要なのです。
例えばペット。
ペットは精神衛生の向上のために飼われますが、一方で感染症をもたらす存在でもあります。
ペットの獣医さんはペットの病気を治すことで飼い主の精神を安定させ、人への感染症の可能性を減らします。
家畜は分かりやすいですね。安全な牛乳や肉、卵、ハチミツを生産する家畜の健康を維持し、重大な伝染病の予防する部分に獣医師は関わっています。これも人の健康と安全のためです。
他にも薬やワクチンの研究、海外からの畜産物の輸入などにも獣医師はなくてはならない存在です。

そういった意味で、獣医師は動物を通して「人」を見ています。
もちろん純粋に動物のためだけに尽くす獣医さんもたくさんいますが、その業務が人や社会の健全さに寄与することに変わりはありません。

人形作りで獣医師としてこだわるところは?

さて、こういった「社会に資する」性質を持つ獣医師のひとりとして、私が人形の中に見るもの…
それは…臓器、です。
え、突然何? ですよね。すみません。上からの流れを完全に断ち切ってしまいましたね。
大学で病理学研究室に所属し、職業でもたくさんの解剖をしてきたので、どうしても動物の中に「構造物」を見てしまうんです。
骨や筋肉、内臓、脳…
職業病みたいなものですね。
精巧な機械以上の緻密さで生き物が構成されてるなんてすごく不思議です。
人形の中にも果たしてそれらは存在するのでしょうか。

人形はどうしてもデフォルメした形態になってしまうので、本来の生き物としてはあり得ない姿になっています。
表面的な動物の特徴にこだわってもそれはしょせんささやかなこだわりに過ぎず、世の中にはよりリアルな動物の人形も存在する以上、ただの自己満足でしかありません。
動物はそれ自体完成形なので、実はデフォルメすることはそれを毀損することになるんですよね。

自分の頭の中にだけ存在する「獣人」をかわいらしく最大公約数化して、人形を生み出していく…
人形であってもその中に「臓器を存在させる」のが、獣医師としての私のこだわり、なんです。
(実際は人形の中に臓器があるわけではないので誤解なさらぬよう…)

人形の中に宿るもの

人形は写し鏡。
自分や自分ではない何かを投影して人はそこに命を見ます。

長く使われた物は「付喪神」となって妖怪化すると言われますが、ウチの子たちもぜひ妖怪化して欲しい…なんて思ってます。
(あ、ウチの子たちは捨てられようが壊されようが絶対化けて出てこないので安心してくださいね)

私は日々人形たちの中に「臓器」を見ながら1体1体人形を作っています。

そんな人形に興味を持たれた方はぜひおうちにお迎えしてくださいね。
人形一同、心からお待ちしております。

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