
皆さまこんにちはこんばんは。ケモミミ本舗 たぬぬです。
ここのブログでは衛生害虫(や衛生害獣)を過去にもちょいちょい取り上げてきました。
「衛生害虫」とは、人が暮らしていく中でその生活に「衛生的な害悪を与える=感染症(寄生虫・カビ等含む)や伝染病を媒介する」可能性の高い虫(昆虫やくも)を言います。
最も身近な例としてはハエやゴキブリですね。
(一般的にはこれにネズミなどの衛生害獣も含めて対策が必要となります)
衛生害虫(衛生害獣含む以下略)が厄介なのは、体の表面に病原体を付着させて動きまわりそれらを撒き散らす「機械的運搬(伝播)」と体内に取り込んで体内で増殖させたのちにその病原体を排出し拡散する「生物学的伝播」の両方を担ってしまうことにあります。
(蚊やアブだと吸血時に直接体内に注入するのでさらに直接的ですね)
これらの伝播形式をまとめて水平伝播なんて言ったりもします。
機械的伝播の筆頭はハエで、彼らは活動範囲が1〜2kmと非常に広く、あらゆる「病原体」を体に付着させてはいろいろな場所に撒き散らしていきます。
(風に乗るとさらに遠くまで活動範囲が広がることもあります)
ゴキブリも機械的伝播を行いますが、ハエよりは行動範囲が狭いため、「比較的」周辺に対する悪影響は少ないと言えます。
一方生物学的伝播ですが、体内での病原体の増殖を経るため、生物学的伝播は機械的伝播に比べて「病原体量が圧倒的に多く」なり、より大量の病原体がばら撒かれることになります。
この場合、(実際はいわゆる「感染」を昆虫自身にも起こしている可能性もあるそうですが)虫自身ダメージをほとんど受けない状態で体内増殖がなされていくので、感染による(虫自身の)死亡で虫の個体数が減少してその後の拡散量が減っていくという期待もあまりできません。
厄介ですねー。
さらに厄介なのは体が小さいためにどこからでも侵入できてしまうことですね。
住宅のような機密性の高いところであってもゴキブリの侵入が完全に防げないように、工場や店舗等でも完全には防げず、たまに異物混入等がニュースなどによって表面化されたりとかもしています。
畜舎であればなおさらですね。
近代的な畜舎であっても難しいのはそう変わりません。
家畜は集団で飼育されるので、病原体の侵入はものすごい脅威になります。
一過性の軽いものでも、下痢や肺炎が起こると生産性が削がれることになり、さらにそれらが維持されると長期化し慢性的な損耗すなわち減収につながります。
この、「侵入と維持」に衛生害虫(衛生害獣)が大きく関与してくるわけです。
畜産分野ではなく医療分野でもそんな衛生害虫の事例があったのでひとつご紹介します。
厄介なことしかしない衛生害虫の中でも、1番の嫌われ者であろうゴキブリについての話題です。
PubMedCLOUDという医療ジャーナルに2024年に載せられた報告(海外の事例です)で、それを紹介していたCareNetの記事によると、とある病院で多剤耐性菌のアウトブレイクが発生したもののなかなか収束しなかった事例にゴキブリが関係していた、というものです。
ICUで発生し、20か月も続いたアウトブレイクで、環境中のさまざまな場所から多剤耐性菌が検出され、患者の約20%もの感染者を出し、繰り返しの消毒でも沈静化しなかったその原因が「ゴキブリ」だったという…
小さくて機動性が高い生物がどれだけ厄介なのかが分かる事例ですね。
ゴキブリは上記にもあるように水平伝播の担い手として機能します。
機械的運搬を行いながら、体内に取り込んだ菌を保持し、拡散するという役割を担っているということなのでしょうね。
ホントにヤツらには人間が滅びてもずっと勝てないんじゃないかなぁって思います…