災害時の支援について思うこと

あけましておめでとうございます。ケモミミ本舗です。

はっきり言って全然めでたくない新年になってしまいました。
被災された皆さまにいち早く支援が行き渡ることを願っています。

私が住んでいるところも激甚災害(地震)が起こると言われている地域ですので全く人ごととは思えず、毎日やきもきしながら情報を見ています。

私は家畜の防疫を業務とする獣医師でしたので、災害時ではないのですが、「家畜の伝染病の発生」という「有事」の対応は何度か経験しています。
その上で今次の災害対応を見ていて「大変だなー」と思ったことを書いておこうと思います。
このブログを通して少しでも「いつか起こるかもしれない自分ごと」として参考にしてもらえたらいいなぁなんて思っています。

(ちなみに私が知っているのはごくごく小さな範囲で終わる家畜の伝染病発生時の対応についてなので、比較する方がおかしい、というのは承知の上です。また、今回の地震では道路の激しい断裂や特殊な地形など通常とは違う条件のもとでの救助・支援活動であることも十分に承知した上で書いていることを書き添えておきます。)

必要物資の把握

家畜の伝染病発生時には、資材は「備蓄倉庫」から消費する分だけずつピストン輸送されていきます。
(当然寸断されていない道路を走っての輸送になります)
ある程度「雑」な量での運搬になりますが、管理係によって発送された数量は把握されており、全体の工程の中で過不足は吸収されて「ちょうどいい」消費量となるように調整されます。

そういう「調整」ができるのは各拠点から何がどれくらい足りないかの要望が小まめに上がってくるからです。
災害時は情報が錯綜しているでしょうしそんな単純な手続きすらできなくなっているでしょうから担当部署は本当に大変だと思います。
いわゆる“プッシュ型”の分配にならざるを得ないわけですが、膨大な種類の物資を仕分け分類配送手配する…なんて本当にすごいです。

何より大変なのは「どこに(で)」「どれだけ」分配・消費されたのか記録を残さなければならないことです。数が多く、刻々場所も変わる可能性のある避難所でのそれは気の遠くなるような作業でしょう。

物資の仕分け

私は現場の担当だったのでちょっと考えてしまうのが「物資を受け取った側」のこと。
全く届かない、のは論外として、「届きすぎ」「内容の偏り(〇〇だけなど)」はまだしも、1番困るのが「全体としては足りないけど届く」じゃないかなと。
お年寄りや子ども連れ、病人等を優先して渡すにしても、常に「少し足りない」だと、いずれ配分が硬直して「配れなくなる」可能性が出てくるよなぁと…
こういう時は「公的な地位のある」責任者が複数必要となりますが、大体常に人は足りてないと思うのでいろんな意味で辛い現場になってると思います。
「声の大きな人」が仕切っちゃう傾向になるのも怖いですよね…
もし万が一、自分がその責任者にされちゃったらどうします?

まぁそもそも今回のように道路が寸断されてまともに運搬できない状況はそれ以前の問題ですが。
すぐ先に人が待っているのになかなか行けないのは搬入する方も待つ方も精神的にもキツイですよね。
家畜の伝染病発生の場合、拠点と作業現場が離れている時は拠点から延々歩いて現場まで行ったりもするのですが、災害時だと絶対量も違うし難しいでしょうね。

物資から出るゴミ

現場で大変なこととしては、「ゴミ」の問題もあります。
伝染病発生時の拠点での話ですが避難所でも似たような状況になるのではないでしょうか。

ああいった場所では物資は基本的に「包装」されたものが大量に届きます。
なので物資が消費されると当然「ゴミ」となってそれらが残ることになります。
伝染病発生時の拠点では「ナマモノ」はないので(作業現場は除く)、「大量のゴミ」が単純に量産されていくだけですが、避難所ともなれば食品関係のゴミも多くなるのでニオイや衛生害虫(獣)の問題も多く出てくるのではないでしょうか。雨に濡れると使えないものが濡れたりする問題もありますよね。
あと、思ってる以上に汚れやほこりが溜まるのが早いので、その対応も大変だと思います。(多分常にマスク付けてても喉が痛くなるくらいじゃないかと。)

何にせよ物資の「搬入」だけでなく「搬出」も重要になるのは自明なので、少しでも早くルーチン化できるといいなと思います。

外部からの動員の受け入れ

近年の大規模農場化の影響もありますが、家畜の伝染病の発生時に頭羽数が多すぎる場合、県内の関係機関だけで対処できないので、外部からの応援を頼むことがあります。

実は以前、まだ家畜の伝染病の発生対応に不慣れだった頃、上からの指示で大量に動員されてきた人たちを無為に待機させてしまったことがありました。
現場がその動員数に対応できていなかったからです。
その人数が動けば大きな前進になることは分かっていても現場に受け入れ態勢ができていなければいないも同然になってしまうということです。

今回の災害で見るとそれは現場までのアクセスの悪さに当たるのでしょうか?

なのでもしかしたら(すごく好意的に見て)、政府が少しずつしか自衛隊を動員してないのはそのせいかもしれません。

(まぁぶっちゃけると悪路を行けないのが理由になるのはちょっとどうなのかなぁって思うんですけどね。今後はこれがデフォルトになるように思いますし。悪路を想定済みの計画を立ててあればいくらでも対処の仕方はあったかなと。)

動員数

家畜の伝染病発生時には整然としたマニュアルが存在するので、動員数はあらかじめ想定されており、発生規模に応じて振り分けられることになります。
それでも現場では人手は足りてない状況になりがちなのに、必要動員数を当初から確保できない災害時はなおさらだと思います。

被災した人たちは皆一様に疲れているので、手間のかかるところは本来元気な「部外者」が行うのが理想だと思いますが現実は難しいですね。
だいたい避難所の責任者も被災調査も被災者であるはずの現地の公務員の皆さんがやっているのではないでしょうか。
人手はいくらあっても足りないけれど外部からの動員を受け入れるほど現場に余裕(衣食住)もなかったりしますしね。

今回気になったところ

家畜の伝染病発生時では「初動」をとても重視します。
農家さんから報告があって疑いを持ったその瞬間から全て動き出します。
なんですが…今回はなんとなく対応がゆっくりなような…??お正月だったから…??
(いや、うちら年末年始だろうが真夜中だろうが関係ないけどな?!)
伝染病発生時ではちょっとでも対応が遅れると国からそれはもうひどいお叱りを受けるのですが…
うーん、私は災害関係は全く分からないので、これくらいが普通なんでしょうか??

我々の組織では発生が起こるたび、もしくは他県で発生があるたびにマニュアルがブラッシュアップされていきます。
一緒にするなとか言われそうですが、当然国レベルでは災害時の対応ってマニュアル化されてるんですよね???(自治体レベルでマニュアルがあるのは分かってます)
て疑うレベルで災害が起こるたびに同じようなところでつまづいてません?
避難所とかも何十年前から全く改善されないし。

避難所の環境、悪すぎません?
家畜の伝染病発生時に作る休憩所でもあれより待遇いいのでは??
作業する人たちから苦情入るレベルだよなー、なんて思いました。
防疫畑の人間からして見れば病気を蔓延させたいのかな?って思うレベルです。ひどいです。
あれじゃあ元気になる人も元気になれないですよ。
いつか被災者になるであろう自分があそこにいくのであろうことはもはや確定しているのでただただ呆然としてしまいます…

あとは原発の不安ですね。
これはもう地震大国であり原発大国である日本では災害時に切り離せない問題となってしまいました。
そんなに原発に問題が起きて欲しいのか!などと起こる方もいますが言うまでもなく逆ですよね。起きてほしくないから口うるさく確認するわけで。
生物やってる私から見ればあまりにもリスクが高く、経済的に見てもとても「元」は取れない…
本当に負の遺産になってしまいました。


私は元々公務員なので現場の人たちがどれだけ一生懸命に職務をこなしているか知っています。近年激増してる非正規の皆さんも給料やっすいのに同じように職責を求められていることも知っています。
だから私は公務員であろうと自衛隊であろうと民間であろうと基本的に現場で働く方々の味方である一方で「上」には厳しい視線を向けるようにしています。
現場は「上」から命令されたことを職能の範囲でこなすしかないので。
本当に本当にお疲れさまです。

以前書いたブログですがこちらも興味のある方は読んでみてくださいね。

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