皆さまこんにちはこんばんは。ケモミミ本舗です。
電気羊ではないです。(このネタ分かる人、あなたはハヤカワ文庫世代ですね?)
ダチョウって家畜だってご存知でした?
そうなんです。実は家畜なんです。
我々獣医師が遵守する「家畜伝染病予防法」にも鳥類の対象家畜として、「鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥」と書かれています。
なので、当然病原性鳥インフルエンザの対象畜となります。
実はすごいトリ、ダチョウ
ダチョウって実は全身くまなく利用できるので、家畜としては本当に優秀です。
具体的には、肉はもとより、皮(革)、羽根、脂肪まで利用されます。
皮(革)については「オーストリッチ皮革」として有名ですね。
ダチョウは飛べない鳥なので、軸に対して羽が均等に生えているのですが、これが「正義」の象徴として扱われたこともあったようです。基本的には羽根は左右均等で優雅に見えるのでお金持ちのステイタスとして利用されてたようですね。
私が若い頃は、まだダチョウが珍しくて、ワクチンに対する感受性とかいろいろ調査してました。
少しのエサでもたくさんのお肉ができる??
私は畜産分野の人間なので、皮や羽根よりも肉により興味があります。
ダチョウの肉に関する最大の特徴としては「飼料効率がいい」のひとことにつきます。
鶏も豚も牛も、肉を生産するためには実はたくさんの餌や水を必要とします。
ですが、ダチョウの場合、同じ1kgの肉を生産するために必要とする餌の量が段違いに少ないんです。
簡単な指標としてよく言われるのが、それぞれの肉を1kg生産するために消費されるとうもろこしの量で、鶏で4kg、豚で6kg、牛で11kg、に対し、ダチョウは3kgで済みます。
(水はもっと顕著です)
あの巨体からはちょっと意外な気もしますよね。
肉質も赤身でさっぱりしてて美味しいですよ。タンパク質豊富でダイエットとかにもいいかも。
(ただ、お肉になるまでの飼育期間はちょっと長めで、400日くらいかかります。)
ダチョウは育てやすいのか
ダチョウの特徴のひとつでよく言われるのが「育てやすい」こと。
しかし、ダチョウが家畜枠に入れられる頃にダチョウに携わっていた私から見ると、一概にそうは言えないんじゃないかなーって思ってしまいます。
おそらく「プロ」の鶏農家さんなら割と簡単にクリアできるんでしょうけど、孵化後から1か月齢あたりまでとても繊細で気をつける必要があるからです。
そうです。気を抜くとすぐ死にます。
温度管理から飼料管理から環境の管理まで少しでも手抜かりがあるとあっさり死にます。
まぁ乳幼児期はどの家畜も弱いので、ダチョウお前もか、と言ったところなだけなんですけどね。
ダチョウの原風景
ダチョウは基本的に放牧方式で飼育されます。
幼年期を過ぎるとあの繊細なボーイズガールズはどこに?!というくらい頑丈になるので、割と過酷な環境でもたくましく生きてくれます。
ダチョウと言えばサバンナの暑い環境で走っているイメージがあると思いますが、実は雪の中でも寝れたりするんですよ。
びっくりですよねー。
ある牧場で見た、降りしきる雪の中で佇むオスと座っているメス(もちろんどちらも成獣でした)が私のダチョウに対する原風景です。
あの雪の中で彼らはなぜ畜舎に入らずに外にいたんだろうと今でも不思議なのですが。